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チューリップの咲く頃に

TAKEHIKO YANASE

今日はstoneのアプリで書いてみる。stoneは開発の時からモニターで使わせてもらっていて、使い始めて8年くらいになるのか。大きな進化はないが、それがいいところである。

今週は富山と余市という雪国週間。富山は自分のルーツを訪ねに、余市はからすみ商品の撮影と取材に参る。富山県砺波市柳瀬という地域があり、そこが自分のルーツだという話を聞いてから、何度もGoogleマップを開いては、そこに暮らす遠い親戚を想いながら、焼酎のお湯割りを飲んだりしていた。柳瀬に行ったらこの川沿いを散歩したい、きっとここには柳の並木があり、そこから柳瀬という名がついたに違いない。自分のDNAがその遠い記憶に惹かれて引っ越したくなったらどうしようなどと考えていたが、実際に柳瀬を訪れたらそこは雪で真っ白。すれ違う人もなく、店もなく、寒い寒いと自動販売機で珍しくホットジュースを買い、柳瀬の交差点の写真を撮るなどして、その地を後にした。柳瀬地区自治振興会と書かれた建物や、柳瀬ふれあいセンターなるセンターにも足を伸ばしたが、それといった柳瀬の情報を得ることはできなかった。それでも、思い描いていた土地に足を運び、その土地を見たことがある状態でこのあとの時間を過ごせるのはスッキリするものである。富山市で訪れた立ち食い鮨「人人」の大将に推薦いただいた砺波の名店とされる蕎麦「福助」に惜しくも蕎麦売り切れ御免で入店できなかったのは心残りであったが、またチューリップの咲く頃に来ることがあれば、すすって帰りたい。
富山から蒲田へ移動。小川町から羽田が少々距離があるため、6:45の電車には間に合わない。なので、蒲田前入りというのは季節毎程度のルーティンとなった。蒲田は飲み屋がたくさんあり、掘っていけば楽しい世界が待っているはずだが、なんだか人が多くて、街の音が大きくてどこか疲れてしまう。しかも、翌日は決まって5時起きなので、そうそう深酒していられない。なので、決まって駅近くの餃子屋に入ることが、セットでルーティンとなった。ここの餃子は美味い。羽つきでありながら、皮が分厚くて、肉感のある、あの感じである。餃子の肉汁を麦酒で流し込みながら、翌日の取材の流れを考える。本当は大浴場付きのビジネスホテルに泊まりたいが、世はオーバーツーリズム。ホテル高騰で、お仕事の予算に蒲田前入りは組み込まれていないので、やむなくカプセルホテルで縮こまって寝入る。朝起きて京急蒲田へ歩く道は、夜と朝が交差している、いや抱きしめ合っている。黒いコートに身を包んだビジネスファイター達と逆行するように歩けば、朝までご苦労さまですと声をかけたくなる客引きの声をイヤホンから流れるケンドリック・ラマーのラップでかき消す。京急蒲田のエスカレータートラップをクリアして、一生覚えられないスカイマークのターミナルを検索すれば羽田はすぐそこ。今週も、空を飛び、人に会い、声を聞き、文字を書く。