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均一ではないもの

TAKEHIKO YANASE

感じたことを掴まえ、想っていることを言葉にし、考えたことを実行する。
こんなシンプルなことが、なぜだかこの社会では難しい。
やりたくないことをしない。
そう言うと稚拙のようだが、どうにかこうにか社会の均質化という引力に抗って生きてきた。
自分の個性のようなものが、失われてしまう気がしたからだ。

東京に住んでいた中学生の頃から、古本屋や古着屋に行くのが好きだった。
今は埼玉県小川町という小さな田舎町に暮らし、個人が営むお店で食事をし、四季に移ろう山々を眺めながら古い町並みを散歩するのが好きである。

振り返ると、どれも「個」が溢れている場所だった。
均一ではないもの。
大量に複製されたものではないもの。
あるいは、時間を経て、その物に独自の物語が宿ったもの。
そういうものが、自分が好きなのだなと今では思う。

普段僕は、ブランドやコンテンツづくりの仕事をしている。
経営者とじっくり話をし、その人がなぜそれをやっているのかについて耳を傾ける。
その会社らしい言葉やデザインが立ち上がり、働く人が前向きに仕事に向かえるようになるのが何よりのやりがいだ。

自分らしくあればあるほど、他の会社には真似できない存在になっていく。
働く人がそれぞれの持ち味を発揮し、本当に想っていることを実現できる会社が、いい会社なのだと思う。

自分が想っていること、つまり自分の個性にどうすれば出逢えるのだろうか。
それには、自分と話し合う時間が必要になる。
考えを言葉にして、一度外に出してみる。
その言葉と向き合いながら、少しずつ、自分を正確に映し出せるようにしていく。
もしかしたら、こうして文を書くこと自体が、自分の個性と出会うための、小さな練習になっているのかもしれない。だとしたら嬉しい。