僕らの先月
遠野から富川岳が泊まりに来た。会うのは去年の夏ぶり。六本木でトークイベントを終え、翌日は渋谷で打ち合わせだというが、わざわざ小川町まで来てくれた。TJライナーで20時31分に小川町駅着だとメッセージが来る。娘は岳に何度も会っているので、「岳は何時に来る?」と聞いてくる。この時間に対面すると興奮して全然寝付かないことが容易に予測されたため、岳を駅まで迎えに行きつつ、駅近くの「精華」で、ねぎ塩餃子とブラックチャーハンをつついてからうちに帰ることにした。
店内の蛍光灯の下で改めて顔に目を向けると、岳はパーマをかけていた。いい感じに増えている白髪にとても似合っていたし、なんだかプロデューサーから作家の風貌にジリジリと変化しているような気もした。金髪願望もあるらしい。家に帰ったら、リアルで会ったときに必ず収録しているPodcast「ゆらしラジオ」を録らなきゃいけないので、ここであまり話しすぎると新鮮味を持って収録ができないなあなんて思いながら、無言で餃子を食べるわけにもいかないので、近況報告をした。買って一週間経って新鮮味を失った長ネギをあまり研いでいない包丁で黙々と小口切りするような毎日を過ごしている自分には、特筆すべき近況もないような気もしたが、親友との会話は特段落ち着く。
家に帰ったら「ゆらしラジオ」を収録し、その中で5月に出店する藤原印刷主催の「心刷祭」についても話した。お互い藤原印刷にはお世話になっており、自分でつくった本も藤原印刷で印刷している(僕のはこれから)ので、それを販売したいと考えているが、せっかくなので二人で何かつくろうかということになるわけで。あと2ヶ月で完成できるアイデアを考え、「僕らの先月」というZINEをつくることになった。4月1日から30日までお互い毎日日記を書き、メッセンジャーで送り合い、それを5月17日のイベントで「こちらのZINE、僕らの先月です」と言って販売する算段だ。100部印刷する予定だが、どれくらい売れるものだろうか。その前にまず、当日までに完成させることを考えなければいけないが、お互いそういった制作は慣れているので、まあ大丈夫だろう。ということで、4月は毎日日記を書くことになった。こちらのJOURNALにも転載(というか先載)するか、ZINEだけで読める内容にするかわからないが、送り合うことでまた違ったことも書けそうなので、楽しみである。こうやって、近しい仕事をしていて、年に何度かしか会わないけど充実した近況報告ができ、たまに何か企画して遊んでということができる友達っていい。今回の「ゆらしラジオ」は2時間半。よかったら、耳を貸してください。「心刷祭」は5月17日。よかったら、足を伸ばしてください。
